【保存版】つらい過去を抱えるあなたへ。精神科看護師が選ぶ「トラウマケア」のおすすめ本4選

お勧め本

精神科看護師が選ぶ「トラウマケア」のおすすめ本4選

どうしても消えない過去の記憶がある…

理由もなく不安になったり、自分を責めたりしてしまう……

周りからは“頑張りすぎ”と言われるけれど、やめ方がわからない

そんな生きづらさを、ひとりで抱えていませんか。

実は、
「本という形で自分の状態を知り、理解すること」
それ自体が、回復への大切な一歩になることがあります。

精神科訪問看護の現場や、私自身の経験を通しても、
「知ることで、少し楽になれた」という方は少なくありません。

この記事では、看護師視点から
複雑性PTSD おすすめ本 を4冊ご紹介します。

今のあなたに、そっと寄り添ってくれる一冊が見つかりますように。

ゆも
ゆも

私や私の周りも、この本を読んで自己理解が深まりました♪

この記事を読んでわかること

  • 「生きづらさ」とトラウマがどう関係しているのか
  • 今の自分に合ったトラウマケア本の選び方
  • 活字がつらい時でも読める入門書はどれか
  • 無理せず回復に近づくための最初の一歩

1.【初心者さんへ】自分もそうかも?と気づくきっかけに

⚠️ 読むときの大切な「お約束」

トラウマに関する本は、読むと過去の記憶が刺激されて、胸が苦しくなったりソワソワしたりすることがあります。それはあなたの心が一生懸命自分を守ろうとしている証拠です。

  • 「今日はここまで」と本を閉じる勇気を: 1日1ページ、いや1行だけでも十分です。
  • 「今」に戻るスイッチを持つ: 辛くなったら、足の裏が床についている感覚を確かめたり、温かい飲み物をゆっくり一口飲んでみてください(これを「グラウンディング」といいます)。

あなたのペースが、一番の正解です。

看護師が選ぶ 複雑性PTSD おすすめ本4選

あなたの今の気持ちは?おすすめの「行き先」
A:とにかく文字を読むのがしんどい。まずは漫画でサクッと知りたい。👉 体験記(漫画)
B:仕事や対人関係で「頑張りすぎ」て限界。自分を緩めたい。👉 入門編(ゆるめる本)
C:物語やイメージを通して、感覚的にやさしく理解したい。👉 入門編(赤ずきん)
D:理屈や仕組みを専門的にしっかり学んで、納得したい。👉 中級編(本格派)

※リンクをクリックすると各書籍の紹介にジャンプします

① いいかげんに生きづらさを終わらせたい(著:三森みさ)

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「活字を読む余裕がない」
「難しい話は今はちょっとしんどい」

そんな時に、まず手に取ってほしいコミックエッセイです。

ポイント

  • 著者自身の体験をもとに描かれたリアルな漫画
  • トラウマ治療の流れがイメージしやすい

学べること

  • 筆者の複雑性PTSDの症状から基づく、複雑性PTSDの症状について
  • 筆者がトラウマ治療にたどり着き、心理療法を受けながら、試行錯誤しつつ回復の一段落に至るまでの体験記。

こんな人におすすめ

  • 調子が悪く、文字が頭に入りづらい方
  • 文字を読むより漫画のほうが頭に入りやすい方
  • 実際に複雑性PTSDの当事者の感想や経験を知りたい方

『いいかげんに生きづらさを終わらせたい』より

「私とみささんの間に境界線は何本あると思いますか?正解は2本です。」

Kindleで550円で手軽に読めるので、経済的にも優しいです。

著者の三森みささんも、トラウマ治療を行うにあたって金銭面での困難を感じていたそうです。

ゆも
ゆも

トラウマ治療のカウンセリングの相場は1万円前後です。

しかし、心的外傷の心理療法として保険適応になっている病院もあります。

2024年厚生労働省による心理支援加算の新設

近年、心的外傷(トラウマ)に起因する症状を持つ方への支援の重要性が、医療の現場でもあらためて注目されています。

その流れの中で、厚生労働省は
「心的外傷に起因する症状を有する患者に対して、適切な介入を推進する観点」から、
精神科医の指示を受けた公認心理師による心理支援
を評価する制度として、
「心理支援加算(250点・月2回まで)」を新設しました。

心理支援加算とは

この加算は、以下のような条件を満たした場合に算定されます。

  • 精神科を担当する医師の指示のもと
  • 公認心理師
  • 対面で30分以上の心理支援を行った場合
  • 初回算定月から最長2年間、月2回まで算定可能

通院・在宅精神療法とは別日に実施した場合でも算定できる点が特徴です。

対象となる患者さん

対象となるのは、
精神科医が「心理支援が必要」と判断した、以下の条件を満たす方です。

外傷体験(トラウマ体験)があること

外傷体験には、たとえば次のようなものが含まれます。

  • 身体的暴行
  • 性的暴力
  • 災害
  • 重大な事故
  • 虐待
  • 犯罪被害 など

これらを直接体験した場合だけでなく、

  • 目撃した
  • 近親者や親しい友人に起きた暴力的な出来事

なども含まれるとされています。

心的外傷に起因する症状があること

具体的には、以下のような症状が挙げられます。

  • 侵入症状(フラッシュバック、悪夢など)
  • 刺激の持続的回避
  • 認知や気分の陰性の変化
  • 覚醒度や反応性の著しい変化
  • 解離症状

DSM-5によるPTSD診断基準との関係

これらの考え方は、
DSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)におけるPTSDの診断基準とも重なっています。

DSM-5では、成人・青年・6歳以上の子どもに対して、以下の基準が示されています。

  • A:死や重傷、性的暴力に関わる出来事への曝露
  • B:侵入症状
  • C:回避症状
  • D:認知や気分の陰性の変化
  • E:覚醒度・反応性の変化
  • F:症状が1か月以上続いている
  • G:日常生活や社会生活に支障が出ている
  • H:物質や他の医学的疾患によるものではない

これらのうち、
外傷体験(A)に加え、B〜Eのいずれか、または解離症状を有する場合が、
心理支援加算の対象患者として想定されています。

※本項目は、厚生労働省資料を参考に、内容をわかりやすく整理・要約しています。
出典:厚生労働省
「心的外傷に起因する症状を有する患者に対する心理支援」
(令和6年度診療報酬改定資料・20ページ)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001238907.pdf

2. 【入門編】「頑張りすぎてしまう」自分を緩める

② がんばることをやめられない(著:鈴木裕介)

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「休むのが怖い」「常に何かをしていないと不安」……そんな悩みを持つ方に向けた、心療内科医による優しい解説書です。

ポイント

  • 「あるある」と感じやすいテーマを取り上げ、そこからトラウマとの関係性について振り返ることができます。
  • 漫画や図解が挟み込まれており文字も大きいため、視覚的にスッと内容が入ってきます。


学べること:

  • 身近にあるテーマを題材に「働いてないと不安に感じる」「苦しんでるけど周りからは些細な事だといわれてしまう」「人が怒られているのを見ると強い恐怖を感じる」「彼氏から連絡がこないと不安になる」「周りの人に合わせすぎてしまう」などの場面を取り上げ、トラウマとの関係性を分かりやすく解説しています。
  • コントロールできない感情の原因や、日常を過ごしている自分と強いストレスを引き受けている自分がいるが、過去のトラウマ体験に酷似した状況になったときに、激しい情動とともに強いストレスを抱えている自分が出現すること(解離)の仕組みについてわかりやすく解説しています。
  • こんな人におすすめ: 自分の心を守るために「頑張ること」を武器にして生きてきた方。

『がんばることをやめられない コントロールできない感情と「トラウマ」の関係』より

「私の大嫌いなもう一人の私は、本来の『私』を守るための存在だったのかもしれない』

※ちょっと補足:パーツワークってなに?

パーツワークとは、
「心の中にいくつかの“役割を持った自分”がいる」
と考えて、ひとつひとつに気づいていく心理療法です。

たとえば、
・いつも頑張りすぎてしまう自分
・怖くて身動きが取れなくなる自分
・怒りが急に出てくる自分

それぞれを「ダメな自分」と責めるのではなく、
「これまで生き延びるために、そうしてきた存在」として
やさしく理解していくアプローチです。

ゆも
ゆも

誰しも多少なりとも外向きの顔と内向きの顔がありますよね。

でも、それがかけ離れていけばいくほど、自分がわからなくなりますよね。

また、過去の小さな嫌だった出来事も今に影響してたりしますよね。


3. 【入門編】物語を通して優しく理解する

③『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア』(著:白川美也子)

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誰もが知る「赤ずきん」の物語をモチーフに、トラウマの本質を読み解いていく一冊です。

ポイント

  • 赤ずきんの物語をもとに、物語調にトラウマについて語られています。
  • トラウマの回復ステップ、災害トラウマのアプローチ方法、支援者向けの内容について書かれています。


学べること

  • 赤ずきんがオオカミにたべられそうになったこと、また、『三匹のこぶた』ではオオカミはなぜおうちを壊してしまったのかなど、童謡をトラウマの視点から考察して考えることができます。
  • 災害時のトラウマ治療や支援者側のバーンアウトについて説明されています。
  • トラウマケアを行うことで自分も傷を負ってしまう支援者に向けて、解消法や予防法について記載されています。

こんな人におすすめ: 難しい理論よりも、イメージやストーリーを通して感覚的に理解したい方。

『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア』より

「No Shame, No Blameーー恥ずかしくなんかない、あなたはちっとも悪くない」

ゆも
ゆも

著者の白川美也子先生はメディア進出もしている有名な先生ですね!

被害者にも加害者にもならない意識が大事だと知りハッとさせられました。

過去の自分ではなく今の自分として生きていくことが大事ですね。


4. 【中級編】一生モノの知識をしっかり身につける

④ 複雑性PTSD 生き残ることから生き抜くことへ(著:ピート・ウォーカー)

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「一冊でしっかりと完結させたい」「具体的な対処法が知りたい」という方に最適な、世界的に評価の高い名著です。

ポイント:

  • 347ページにわたる詳細な解説で、複雑性PTSDの仕組みや対処法について知ることができます。
  • 当事者としてのトラウマ体験や自身の子育て体験、カウンセリング時の事例なども組み込まれています。

学べること

  • 愛着の問題、トラウマのタイプ(闘争・逃走・凍り付き・迎合)についての説明、内なる批判家(自分を欠陥のある価値のない人間とみなす、自分の心の一部)、外向きの批判家(ほかのすべての人を欠陥があり価値のないものとして見る心の一部)、複雑性PTSDに対しての「6つの回復ツール」。
  • 複雑性PTSDによる症状について、対処法を学ぶことができます。セラピストの探し方についての記載もあります。

▶トラウマのタイプ(闘争・逃走・凍り付き・迎合)について

タイプ よくある反応 隠れたメッセージ
闘争 (Fight) イライラする、完璧主義 「強くないと見捨てられる」
逃走 (Flight) 常に忙しくする、ワーカホリック 「止まると怖いことが起きる」
凍り付き (Freeze) 引きこもる、頭が真っ白になる 「目立たず、嵐が過ぎるのを待とう」
迎合 (Fawn) 人の顔色を伺う、断れない 「相手を満足させれば安全だ」

※トラウマのタイプについては、4つのF(闘争・逃走・凍りつき・迎合)について詳しく書いた記事も参考にしてみてください。

こんな人におすすめ: 自分の抱えている問題が「複雑性PTSD」かもしれないと感じている方、本格的に自分と向き合いたい方。複雑性PTSDについて学問として学びたい方。

『複雑性PTSD 生き残ることから生き抜くことへ』より

「読書療法は、複雑性PTSDにありがちな、絶望的な孤立感や疎外感からあなたを救うことができます。」

ゆも
ゆも

この本が一冊あることで、複雑性PTSDの症状の理解から、支援者向けの複雑性PTSDを持つ方との関係構築の仕方についても学べます。

自分だけと思っていた気持ちが、過去のトラウマが原因だったのかも?と思い少し気持ちが楽になると思います。


まとめ:今のあなたに合う一冊は?

まずは、直感で「これなら読めそう」と思うものから選んでみてください。

選び方の目安おすすめの本
まずは漫画で気軽に『いいかげんに生きづらさを終わらせたい』
頑張り癖をゆるめたい『がんばることをやめられない』
物語で優しく学びたい『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア』
本格的に向き合いたい『複雑性PTSD 生き残ることから生き抜くことへ』

おわりに

今の自分の状態を知り、「あぁ、自分はダメなんじゃなくて、トラウマの影響を受けていただけなんだ」と理解するだけでも、心は少しずつ軽くなっていきます。

焦る必要はありません。

ここに載せた本は、私が実際に読んで『救われた』と感じたものばかりです。

リンクを貼っていますが、もちろんお近くの図書館で探してみるのも大歓迎ですよ。

まずは手に取ってみること、それが自分を大切にする第一歩になります。

あなたのペースで、あなたの心に合う本が見つかり、穏やかな毎日に繋がることを心から願っています。

【大切なお知らせ:免責事項】本記事でご紹介した書籍は、自己理解を深めるためのリソースであり、精神医学的な診断や治療に代わるものではありません。現在、通院中の方や強い精神的苦痛を感じている方は、必ず主治医や専門家に相談の上、ご自身のペースで読書を進めてください。また、万が一読書中に体調を崩された場合は、速やかに本を閉じ、専門機関へご相談ください。

ゆも
ゆも

最後に私の体験談を話させてください。

幼少期、母子家庭で母はあまり家におらず、一人で過ごす時間が多い印象でした。そのころから、「自分はひとりぼっちだ」「誰にもわかってもらえない」という気持ちが根付くようになりました。

今でも人間関係を構築していくうえで、この考えが頭をよぎることがあります。

ひとりぼっちたと感じているそこのあなた、私もひとりぼっちと思うことがあるので、『その気持ちはひとりぼっちじゃない』ということ、忘れないでほしいです。

💖 一人じゃないよ!次のステップへ進もう

この記事を読んで、少しでも「変われるかも」と感じていただけたら嬉しいです。一人で抱え込まず、一緒に歩んでいきましょう。

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この記事を書いた人

tayu14mi@

精神科訪問看護師のゆもです。
専門職としての知識や経験をもとに、メンタルケアや暮らしに役立つものを紹介しています。安心して読めるブログを目指しています。

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